愚か者の石

愚か者の石

河崎秋子

本体1620円 + 税

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内容紹介

生きることは、まだ許されている。

 明治18年初夏、瀬戸内巽は国事犯として徒刑13年の判決を受け、北海道の樺戸集治監に収監された。同房の山本大二郎は、女の話や食い物の話など囚人の欲望を膨らませる、夢のような法螺ばかり吹く男だった。明治19年春、巽は硫黄採掘に従事するため相棒の大二郎とともに道東・標茶の釧路集治監へ移送されることになった。その道中で一行は四月の吹雪に遭遇する。生き延びたのは看守の中田、大二郎、巽の三人だけだった。無数の同胞を葬りながら続いた硫黄山での苦役は二年におよんだ。目を悪くしたこともあり、樺戸に戻ってきてから精彩を欠いていた大二郎は、明治22年1月末、収監されていた屏禁室の火事とともに、姿を消す。明治30年に仮放免となった巽は、大二郎の行方を、再会した看守の中田と探すことになる。山本大二郎は、かつて幼子二人を殺めていた。

「なあ兄さん。
石炭の山で泣いたら
黒い涙が出るのなら、
ここの硫黄の山で涙流したら、
黄色い涙が出るのかねえ」

次回配信の予定

2025 6/2 月曜日
  • 歌舞伎町弁護士(小学館新書)/若林翔
  • 近親性交 ~語られざる家族の闇~(小学館新書)/阿部恭子
  • 消された外交官 宮川舩夫(小学館新書)/斎藤充功
  • 女性議員は「変な女」なのか(小学館新書)/野田聖子、辻元清美
  • それいゆ文庫 いっしょにごはんは、家族だよ! ~不器用な僕たちのほっこり飯~/水戸けい、福光すうち
  • それいゆ文庫 弦月と太陽2 ~二人のあやかし事件簿~/朝陽ゆりね、小倉つくし

2025 6/4 水曜日
  • GOAT Summer 2025/西加奈子、小川哲、尾崎世界観、市川沙央、チョン・セラン
  • パパイアから人生/夏井いつき

2025 6/5 木曜日
  • 今日の仕事は?/武正晴

2025 6/6 金曜日
  • あえてよかった/村上しいこ
  • 帰る家もなく/与那原恵
  • 花蝶屋の三人娘 紅い爪は死を誘う/有馬美季子
  • グッド・シスター/サリー・ヘプワース、梅津かおり
  • 小説版 雪風 YUKIKAZE/長谷川康夫
  • 千年紡ぎの神語/沖田円、さくらもち
  • 天使の刻命本 死神と死者のいとも優美なまちがいさがし/宝杖美季、亀井高秀
  • 香港警察東京分室/月村了衛
  • 山に抱かれた家 迷い道/はらだみずき
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