中上健次 電子全集2 『紀州熊野サーガ2 オリュウノオバと中本の一統』
中上健次
本体1946円 + 税
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内容紹介
「路地」の語り部オリュウノオバが伝える中本の一統の生と死——『千年の愉楽』という「近代小説」の突然変異。
「近代小説」の終焉の予感から、近代以前に遡る「物語」的要素の再導入によってその停滞を打破しようとした中上健次は、『千年の愉楽』で「路地」の産婆オリュウノオバを登場させた。彼女がこよなく愛する中本の一統に属する「路地」の貴種たちは、二十五歳という若さの盛りで次々に劇的な死を遂げる。オムニバス形式で語られる中本の一統の生と死。ここに実現されたのは、「物語」の遺伝子を再導入することによって裁(た)ち直され、蘇った近代「小説」であり、そこで改めて浮上してきた両者の緊密な関係である。
姉妹作となる『奇蹟』は、いわばオリュウノオバとトモノオジのいる「路地」の戦後的な年代記だ。中上は、トモノオジら「路地」の三朋輩が活躍した焼け跡・闇市の時代から、物語的な現在までを性と暴力の絡み合うもう一つの「戦後」として、重層構造の物語世界を築くように描いたのである。それは、日本的な市民社会から疎外された「路地」世界からの反撃であり、あるいは「市民小説」を拒否する中上の同時代の文学への強力なアタックでもあった。
特別寄稿として、長女・紀の「回想録 家族の道端」(2)、「編集担当者だけが知っている中上健次」(2)を掲載。
付録:生原稿や構想メモ、紀州サーガ登場人物関係図(「千年の愉楽・奇蹟」編)などの「特別資料」(2)
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金曜日 |
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- 雨利終活写真館/芦沢央
- 逆説の日本史27 明治終焉編 韓国併合と大逆事件の謎/井沢元彦
- 昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本/牧田習
- 邪神の花嫁御供 生贄は真実の愛を捧ぐ/田井ノエル、THORES柴本
- 新・教場/長岡弘樹
- 空が、赤く、焼けて 原爆で死にゆく子たちとの8日間/奧田貞子
- 不思議カフェ NEKOMIMI/村山早紀
- 前の家族/青山七恵
- 魔女と黒猫 家庭教師をしたら高慢な姫様に懐かれました/宮野美嘉、毛玉呂
- 笑う四姉妹 ひとつの庭と四つのおうち/金子ユミ
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