中上健次 電子全集3 『初期作品集I 未成年の慟哭』
中上健次
本体1946円 + 税
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内容紹介
芥川賞受賞以前の初期作品を収録。「路地」を舞台とした作品の生成前夜・若き日の中上ワールドが凝縮される。
中学生時代の作文で後の中上ワールドの原点を記した『帽子』、兄の自殺をはじめて語り、紀州熊野の自然と戯れる少年の瑞々しい感性を綴った『一番はじめの出来事』、最初の芥川賞候補作品『十九歳の地図』など、「路地」を舞台とする作品の生成前夜の若き中上健次の可能性の全てがここに示されている。
初期短篇時代、大江健三郎の影響下にあった作家は、右二作品を契機に独自の作品空間を構築してゆく。兄の死という「一番はじめの出来事」を、消せぬトラウマとして抱え込んだ中上健次は、『十九歳の地図』では地方出身の大学浪人生が新聞配達をしながら、手当たり次第に近隣住民を電話で脅迫する未成年者の鬱屈を生々しく、かつ痛々しい筆致で描いた。「路地」世界形成の前段としてあったこの初期作品世界は、紀州熊野サーガ(物語群)のために必要な迂回でもあっただろう。そこには、ジャズとドラッグに象徴される、一九六〇年代後半の青年をとらえたカウンター・カルチャーの息吹と、息苦しい日常世界からの逃走と反逆を胸に秘めた未成年者の慟哭が、通奏低音のように全編に響いている。
特別寄稿として、長女・紀の回想録「家族の道端」(3)、現代作家が語る「中上文学の神髄を語る」(1)は佐藤友哉を掲載。
付録:生原稿や原作映画ポスターの他、中学生時代に書いた処女作『帽子』が掲載された新宮市立緑丘中学校生徒会誌の初出原稿等を収録した「特別資料」(3)
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火曜日 |
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2025 |
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木曜日 |
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- ドラえもん科学ワールドspecial 遺伝子のふしぎ/藤子・F・不二雄
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金曜日 |
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- 雨利終活写真館/芦沢央
- 逆説の日本史27 明治終焉編 韓国併合と大逆事件の謎/井沢元彦
- 昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本/牧田習
- 邪神の花嫁御供 生贄は真実の愛を捧ぐ/田井ノエル、THORES柴本
- 新・教場/長岡弘樹
- 空が、赤く、焼けて 原爆で死にゆく子たちとの8日間/奧田貞子
- 不思議カフェ NEKOMIMI/村山早紀
- 前の家族/青山七恵
- 魔女と黒猫 家庭教師をしたら高慢な姫様に懐かれました/宮野美嘉、毛玉呂
- 笑う四姉妹 ひとつの庭と四つのおうち/金子ユミ
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