最後の最後まで、父親は父親だった——。
北朝鮮工作員が命がけで守ろうとしたもの、それは——。
旧防衛庁出身作家の渾身作にして、第3回大藪春彦賞を受賞した大傑作エンターテインメント、感動の下巻!
米国国防総省(ペンタゴン)直轄の情報機関に所属する葉山隆は、北朝鮮工作員で、偽造紙幣“スーパーK”の運び屋・チョンの足取りを追っていた。
チョンは、日本での隠れ蓑として杉川春子という女と家庭を持ち、勇気という息子をもうけていた。
勇気は、父から贈られた瑪瑙(アゲート)の石を、片時も放さずに持っていた。
葉山は、野球を通じて勇気と知り合い、聞き取り調査を進めるうち、チョンが春子と勇気に抱いている愛情は本物だという確信を深めていく。
そして、春子や勇気を囮にチョンをおびき出そうとする組織の作戦に反発し、チョンを亡命させるべく動き出す。
一方、チョンが北朝鮮に残してきた妻・光朱と娘・春花は、国境を流れる豆満江を越えようとする。
だが、渡渉の途中に北朝鮮の警備隊に見つかり銃撃され、光朱は命を落とす。
ひとり残された春花は、父に贈られた瑪瑙の石を胸に、父を待ちはじめるが‥‥。
祖国とは何か?
家族とは何か?
工作員の行為にひそむ、凄絶な悲しみが読む者の胸を打つ。
ラストは感涙必至!!
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