あなたの心を潤すラーメン小説、召し上がれ。
うだつのあがらない営業マン、青木義昭は38歳にして独身である。最低限の生活を維持するためだけに会社に通い、リストラもちらつかされている。生き甲斐は一つ、ラーメン食べ歩きだ。
ある日、人目を避けるように佇むお店「おおきた」で、運命の一杯に出会う。スープは限りなく澄み、数切れのメンマと厚みのある炙ったチャーシュ、さらには4種の葱が浮かぶ。純手打ちの中細の麺はしなやかな弾力と、豊かな小麦粉の風味と甘みを感じさせた。
旨い!!! この日を境に恋も仕事も、人生が一変する。青木は、「おおきた」で生まれた縁から、居酒屋チェーンの新ラーメン開発に携わることになったが——。
これまでに9800杯以上のラーメンを食したという「ラヲタ」(ラーメンオタク)の著者が書き上げた本作は、ラーメン小説でありながら、サラリーマン小説でもある。
〈住民票は会社に置くけれど、本籍はラーメンにある。これは相当の覚悟がないとできないことだが、そんなことは億尾にも出さず、淡々と趣味を真っ当する。(略)青木の言動を見ているとそれがサラリーマンの新しいスタイルだと思ってしまうのだ〉——dancyu編集長・植野広生氏(解説)
2024 | 10/16 | 水曜日 |
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