右の心臓

右の心臓

佐野洋子

本体530円 + 税

読む

内容紹介

少女の目線で戦後を描いた幻の自伝的小説。

「戦争が終ってからずっと父さんは内地の話をしてくれた。あぐらの中にタダシをすっぽり入れて、ヒロシと私は父さんにぐてりと寄りかかって、兄さんは、父さんの前にかしこまって坐って、みんなシーンとして父さんの口を見ていた」——中国からの引き揚げ。父さんの伯父一族が住む山梨の田舎での貧しいがエネルギーに満ちあふれた生活を、あくまで少女の目から描いた自伝的小説。小さな共同体の中の子だくさんの家族、昭和20年代の日本の原風景が丸ごと裸のままで立ち上る。「心臓が右にある」最愛の兄の死の描写は、この作品のハイライトだ。「もう死んだから下着もパンツもはかせないのか。いやだなあ、とわたしは思った。パンツぐらいはかせればいいのに」

本作は1987年から88年にかけて「図書新聞」に連載され、88年10月に(今はない出版社)リブロポートから刊行された。絵本作家佐野洋子が初めて書いた長篇小説である。数々のエッセー集で繰り返し描かれてきた「家族」がほぼそのまま登場する自伝的な小説といっていいだろう。この幻の作品が文庫化され再び世に出る意味は大きい。
解説:岩瀬成子(児童文学者)

※没後10周年の企画として、表紙を差し替えました。
この作品は2012年6月より配信している『右の心臓』の内容と同様のものです。

同じジャンルの書籍から探す

蟲愛づる姫君の宝匣【かきおろしSS付き 電子特典版】 ロック わんこの島  ライアの祈り 夢幻∞シリーズ 百夜・百鬼夜行帖95 白木村のなみ 九十九神曼荼羅シリーズ 百夜・百鬼夜行帖22 内侍所(ないしどころ) それいゆ文庫 後宮まじない珈琲店 〜新入り妃、猫アタマ皇帝の謎に挑む〜 空に星があるように 〜小説 荒木一郎〜 ナポレオン街道 可愛い皇帝との旅 あぶない刑事 9 いぬ馬鹿 箱根富士屋ホテル物語 小森谷くんが決めたこと P+D BOOKS 小説 葛飾北斎 上巻 東京かくりよ公安局 夢幻∞シリーズ まなざしの街11 鎮魂 中上健次 電子全集8 『エッセイ集 1970年代〜80年代』

次回配信の予定

2025 8/18 月曜日
  • 長井かおり 「自分に似合うメイク」の方程式、教えます! ~自分探し実践ドリル~/長井かおり

2025 8/20 水曜日
  • 一九八四+四〇 ウイグル潜行/西谷格

2025 8/21 木曜日
  • P+D BOOKS 幻影の構成/眉村卓
  • P+D BOOKS 日蔭の村/石川達三
abj

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号6091713号)です。
ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら。https://aebs.or.jp/