自分の家族の生涯を赤裸々に綴った私小説『血族』を始めとして、1978年〜1979年9月までに書かれた67作品収録。
収録作品は、エッセイ「人生仮免許」(朝日新聞ほか1978年1月15日)から、小説「昨日の今日」(「小説現代」1979年9月)まで、1978年〜1979年9月までに発表された小説、エッセイ等67作品を初出掲載順に収録。
山口が初めて書きおろした長編小説『血族』は、美しく奔放で、好きなように生き、自らのことをほとんど語ることなく亡くなった母について、幼い頃に目にした光景、家に出入りしていた人たちの言葉、そして数々の資料をひもとき作者は自らの出自の謎に迫り、その過程を、母の思い出などを交えて綴った作品である。登場する人物は、直接関わりのない人々がイニシャルになっているのをのぞけば、親族はみな実名であり、“私小説”の傑作として、山口瞳を代表する作品として、第27回菊池寛賞を受賞した。
また、1978年1月15日(成人式)の朝日新聞はじめ全国紙に、山口は「人生仮免許」というエッセイを掲載した。これは、法的に飲酒が許される[新成人]に向けて、山口瞳が、酒の飲み方や礼儀作法を説くという、サントリーの新聞紙全5段の広告企画であった。4月1日の[新入社員に贈る]と共に、人気のある年中行事となって、以後、山口瞳が亡くなる1995年まで、17年間書き継がれることになるのである。
付録として、電子全集の総監修を務める、山口瞳の長男・山口正介が回想録「草臥山房通信」(19)を寄稿。
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