北斎の生涯を描いた時代ロマン小説の傑作。
人々の生活を見つめ、大いなる自然を見つめ、その感動を絵にした男・葛飾北斎。妻・お砂との運命的な出会い、写楽、馬琴、蔦屋重三郎らとの交流を通じて画家として人間として成長していく姿を瑞々しいタッチで描く。
下巻では、画家として驚異的なほど活躍期間が長く、長命だった北斎の老年期の課題、晩年の老化との飽くなき戦いが展開される。
東洲斎写楽、お砂との死別により、悲嘆にくれる晩年の北斎だが、さらに、歌川広重の登場で、人気に翳りが出て、人気作家の晩年の悲哀を情感豊かに綴る。北斎を喝采と共に受け入れた時代が、やがて北斎を残して先へ進んで行ってしまうが……。
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