虫の文学誌

虫の文学誌

奥本大三郎

本体3330円 + 税

読む

内容紹介

昆虫文学を通して見えてくる人間の姿。

「蚊帳やめてわずかな手間のその楽さ」
「蠅は逃げたのに静かに手を開き」
 これらの川柳は、昭和を生きた方なら実感をともなって理解できるでしょう。人間はつい最近まで昆虫とともに暮らし、その美しさに感動したり生態に驚いたり、またカやシラミなどに悩まされてきました。
 しかし都市化が進んだ現代日本では、虫を生活から排除し、いても気づかない存在になりました。
 まず本書は、古今東西の人間と昆虫との長いつきあいを、文学を通して確認します。
 エピソードのひとつを紹介すると、中国の古典『詩経』に、ハチはイモムシを狩って自分の子どもにすると書かれています。日本では「我に似よ、我に似よ(似我似我)」と聴きなし、その虫をジガバチと呼びますが、実際はイモムシを麻痺させて幼虫の餌にするのです。このような誤りが東アジアでは数千年も信じられ続けたのはなぜか、そこに筆者は「人間」の生態を見ます。中国の官吏登用試験である科挙では、先哲の書いたことを決して疑ってはいけなかった、その影響と考えます。
 中国や日本、西欧の古典から、現代文学まで渉猟し、虫に関わる箇所を抜き出し、人間とは何かを考察するエッセイです。

同じジャンルの書籍から探す

P+D BOOKS やもめ貴族 ハムレット! ハムレット!! まめしば ひげの殿下日記 〜The Diary of the Bearded Prince〜 妖怪ウォッチ4コマだじゃれクラブ アンヌ今昔物語 ウルトラセブンよ永遠に… 60年代ポップ少年 夜回り先生と夜眠れない子どもたち 開高 健 電子全集4 同人誌時代 同人誌『えんぴつ』とサントリー宣伝部『洋酒天国』の頃 1949~1958 おしんの心 父のビスコ 煩悩ディスタンス 「魔性の女」に美女はいない(小学館新書) 仕事にしばられない生き方(小学館新書) 世界のへんなおじさん 色川武大・阿佐田哲也 電子全集7 色川武大の原点——「黒い布」から『生家へ』まで

次回配信の予定

2025 11/10 月曜日
  • 鶴岡八幡宮宮司の鎌倉案内 ~後世に伝えたい歴史と文化~/吉田茂穂

2025 11/11 火曜日
  • 小学館版 新学習まんが人物館 水木しげる/水木プロダクション、村上健司、新井淳也

2025 11/13 木曜日
  • お元気部屋へようこそ/安田夏菜、紙谷俊平
  • P+D BOOKS C席の客/眉村卓
  • P+D BOOKS ベンガルの憂愁/大原富枝

2025 11/14 金曜日
  • 「鬼平犯科帳」を歩く! 長谷川平蔵と大江戸さんぽ/松本英亜
  • しっぽのみじかいトカゲくん/りんたろー。
abj

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号6091713号)です。
ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら。https://aebs.or.jp/