年代順に辿る歴史紀行にも乗り物に乗る楽しみが溢れる! 鉄道紀行としても歴史紀行としても最後の単行本となった円熟の一冊!
『平安鎌倉史紀行』は『古代史紀行』に続く本格歴史紀行の第二弾。学術的な言い回しのない宮脇ならではの淡々とした記述で、ちらと出てくる鉄道話も心地がよい。経験豊富で蘊蓄溢れる表現の中に《私は長年にわたって旅行をしているうちに、一つの悟りに達している。それは、上は可、下も可、中間は不可、ということである》とあるが、宮脇の潔い旅の姿と思われる。
5年の取材期間を経て刊行された『室町戦国史紀行』は、後醍醐天皇の隠岐脱出から関ケ原の戦いまでが綴られている。本書までの晩年に執筆された歴史紀行は、当然ながら主題の歴史を辿ったものだが、取材で実際に乗車した交通手段の現状が手に取るように分かる、宮脇らしい紀行文だ。「日本通史の旅」の執筆を目指していたものの、体調不良によりこの巻で最後となった。
付録:宮脇俊三アルバム、連載『最長片道切符の旅』自筆原稿 など2点
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