奈良と東京を舞台に、“新旧の対決”を描いた『春の鐘』は、極上の“大人のメルへン”でもあった。ほか『花のいのち』を併禄。
『春の鐘』は、日経新聞連載作品『残りの雪』から4年後の、昭和48年1月から翌年2月まで、同じく日経朝刊に連載された作品。大学助教授を辞め、美術館の館長として生活の基盤を奈良に置いた鳴海六平太が、彼の留守中に男を作った妻・範子の所業を知った後、信楽の石工の出戻り娘・石本多恵に出会う。奈良に住みだした多恵を、あちらこちらに連れ回す中、やがて二人の心は引かれ合うようになる。夫に恋人が出来たことを知った範子は、二人の愛の巣へ踏みこんでいく……。古寺名刹などの美しい自然描写とともに、美食家・立原の真骨頂とも言える“食べもの”が数多く描写され、後年、蔵原惟繕監督によって映画化された代表作の一つ。ほか、奈良と鎌倉を舞台に、純粋な生き方を求めた女の運命を描いた『花のいのち』を併禄。
付録として長女・立原幹氏が父の思い出を綴る「東ケ谷山房 残像 十七」など関連エッセイ3作収録。特別付録として、映画『春の鐘』の台本、ポスター、チラシ等を収録。
※この作品にはカラー写真が含まれます。
2024 | 11/20 | 水曜日 |
2024 | 11/22 | 金曜日 |
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