直木賞受賞作『白い罌粟』、出世作『薪能』、“血の問題”と戦争を描いた『剣ケ崎』『夏の光』等、立原文学の代表作が一同に。
収金貸業者を踏み倒すことを仕事としている奇妙な男に惹かれて、その不可解な魅力と付き合ううちに自らも破滅していく中年教師を描き、第55回直木賞を受賞した『白い罌粟』は立原のニヒリズムが投影された作品。また第51回芥川賞候補作となり、立原の名声を高めた『薪能』は、没落寸前の旧家の終焉を、闇夜に輝く篝火に象徴させ、従弟との愛を死で締め括った人妻を描いた一作。『剣ケ崎』『夏の光』は、ともに日本と朝鮮の“血”の問題と戦争に翻弄される兄弟の葛藤を描いており、特に『剣ケ崎』は、自らの出生をモチーフとした野心作で、第53回芥川賞の候補作にも選ばれた代表作の一つ。その他、第2回近代文学賞受賞作『「八つの午後」と四つの短編』、第54回直木賞候補作となった『漆の花』を収録
付録として長女・立原幹氏が父の思い出を綴る「東ケ谷山房 残像 九」など関連エッセイ5作収録。武田勝彦氏による評伝『立原正秋伝』より「直木賞」も収録。「写真でたどる立原正秋の軌跡」(3)では直木賞受賞前後の筆者のスナップ写真を収録。
※この作品にはカラー写真が含まれます。
2024 | 11/20 | 水曜日 |
2024 | 11/22 | 金曜日 |
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