南紀(なんき)和歌山の古座から新宮へ、十五歳の春に奉公に出た私生児フサの半生記。『鳳仙花』は、中上健次の母・ちさととその母系一族に贈られた美しい讃歌でもあった。南紀の風土の恩寵によって少女から女へと成長するフサは、やがて子を宿し、母となって女性としての業を背負うことになる。兄の死に次いで襲いかかる夫の死、食糧難の戦時下を四人の子供を抱えて生き延び、敗戦直後には秋幸という私生児を産み、他に女を作った男を捨てるフサ。やがて彼女は、もう一人の男と出会い秋幸一人を連れ子にして新世帯を持つ。紀州熊野サーガの主人公・秋幸誕生の原点がここにある。
『紀伊物語』は、大島生まれの佐々木道子をヒロインとした一連のサーガの周縁に位置する作品。『鳳仙花』、『紀伊物語』という女たちの物語によって、中上作品の舞台は新宮から紀伊半島を西南方向に下り、熊野灘から枯木灘へと海沿いにシフトする。商人や網元の住む大島の地下(じげ)の箱入り娘である道子は、元女郎の母の面影を追って新宮の「路地」にたどり着き、母に関する噂を追跡するうちに、サーガ(物語群)のヒロインに姿を変えるのである。
ほかに、短編連作『水の女』を収録する。
特別寄稿として、長女・紀の回想録「家族の道端」(5)、現代作家が語る「中上文学の神髄を語る」(2)村田沙耶香を掲載。
付録:生原稿や原作映画シナリオの他、『鳳仙花』創作ノート等を収録した「特別資料」(4)、家族とのスナップ写真からなる「中上健次 写真館(3)」を収録。
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