1975年から1980年に刊行されたエッセイ集『魂の犬』『記憶の冥さ』『驚いた花』の3巻で構成する一巻。
『魂の犬』は1975年4月に講談社より刊行された髙橋たか子の第1エッセイ集で、1965年6月から1975年1月までに発表されたエッセイ67編を収録。
2部構成でIには小説論、作家論、自作解説など文学関連、IIには身辺雑記、社会時評、紀行文、芸術関連が収録されている。
そのうち最も古いものが、たか子33歳の時に「京都大学新聞」(1965年6月28日)掲載の「アンチ・ロマンの世界」である。
第2エッセイ集『記憶の冥さ』は、1977年1月に人文書院より刊行され、55編が収録されている。
「あとがき」の冒頭で、「ここに収められたエッセイは昭和五十年の始めから昭和五十二年の秋までに発表されたものである。
この期間には、私の人生の大きな出来事ともいうべき、カトリック受洗がふくまれている。
受洗の日は、正確には、昭和五十年八月五日であった」とあり、彼女の人生の大きな転換期に発表されたものだった。
第3エッセイ集『驚いた花』は、1980年6月に人文書院より刊行され、1977年10月から1980年6月までに発表されたエッセイ51編を収録。
3部構成で、Iは文学、美術、音楽、IIはヨーロッパ旅行、IIIはキリスト教と社会時評と分類されている。
本書と前2作との大きな違いは、キリスト者として、小説家としての意識の変容がくっきりと記されていることである。
解説と解題は、生前のたか子と交流のあった文芸評論家・山内由紀人氏が担当。
付録として、1979年「ヨーロッパ旅行滞在の記録」のメモと生原稿等を収録する。
※この作品は一部カラー写真が含まれます。
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